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前ページルイズの恐竜惑星 「使い魔との親交を深めているようですなミス・ヴァリエール」 「これはミスタ・コルベール」 医務室に頭髪の薄い男が入って来た。 ルイズの反応からしてこの男は教師なのだろう、とラプターは判断した。 コルベールはラプターに視線を移した。 「ほう。あなたがミス・ヴァリエールの召還した使い魔ですな」 「今はそういうことになっている」 「それで、あなたの名前は?」 「ラプター、そう呼ばれている」 自分達からすれば異質であろうラプターにあっさり話を振ったコルベールに、ルイズは少し驚いた。 そして、コルベールが両手に何かを持っているのに気付いた。 「...それは俺のクローか」 「はい。少し調べさせて頂きました。実に高等な技術で作られ、材質もまったく未知の物です」 「そうか。こいつをどうする気だ?」 「あなたにお返ししますよ。平民とはいえ武器を取り上げる権利は、我々にはありませんので」 どうやら武器ということは解っているらしい。だが「コレ」の威力を知らないようだ。 特殊合金も易々と引裂き、恐竜の首をはねとばす威力を。 この世界での平民が持つ武器と同程度か、あるいはそれに毛が生えた程度と考えているのだろうか。 ならそう思わせておいてもいいだろう、そうラプターは考えていた。 「ちょっとラプター!主人の私を放っておいて勝手に話を進めないでよ!」 「ならお前から話に入れば良い」 「~~~~~っ!!!」 割り込んで来たルイズを淡々と受け流すラプター。 コルベールはそれに苦笑しながら席を外した。 「部屋に戻るわよラプター」 「ああ」 「...あんたねえ!もっと愛想よくできないの!?」 「生憎そんな訓練は受けてないんでな」 「あーもういいわ!とにかく付いてなさい!!」 前ページルイズの恐竜惑星
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【名前】ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 【所属】やる夫ロワ 【性別】女 【外見】中学生女子(ただし、体格は恐らく原作準拠) 【能力】 身体能力:B 知能:B 【詳細】 サイトの下に帰るため、ゲームに乗ることを決意。 このロワでは魔法は使えないようで、支給品のグレネードランチャーで西園寺世界、三千院ナギを殺害。 その後、自殺しようとしていたが実は死ぬつもりがなかった柊かがみを散々痛めつけ、「殺す価値もない」と言い放って放置。 やらない夫を強襲するが、グレネードランチャーの残弾を考えていなかったため、弾を撃ち落され、射殺される。 死亡時期はこのロワからの参加者の中で最も早いが、その残忍さは大変目立っていた。 【参加者との関係】 泉こなた・・・やる夫ロワにおける彼女とはクラスメイト。 柊つかさ・・・やる夫ロワにおける彼女とはクラスメイト。 柊かがみ・・・やる夫ロワにおける彼女とはクラスメイト。言葉攻めした後、声帯を破壊するなどして散々に痛めつける。 高良みゆき・・・やる夫ロワにおける彼女とはクラスメイト。殺害しようとするが、逃げられる。 朝倉涼子・・・やる夫ロワにおける彼女とはクラスメイト。死亡を放送で確認。 阿部高和・・・やる夫ロワにおける彼とはクラスメイト。 涼宮ハルヒ・・・やる夫ロワにおける彼女とはクラスメイト。 桂言葉・・・クラスメイト。 キョン・・・やる夫ロワにおける彼とはクラスメイト。 でっていう・・・クラスメイト。 前原圭一・・・やる夫ロワにおける彼とはクラスメイト。 やる夫・・・クラスメイト。
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「マスター洗濯物をたたんだぞ」 「あらそう、じゃあ明日の着替えは椅子に置いて残りはクローゼットの中に入れて置いて。 後これは明日の分。それじゃ御休み」 そういうとルイズは枕に頭を置く ロムは部屋を出て一週間前、自分が召喚された広場へと向かう そして二つの月を見ながら念じ始める 「・・・・今日も駄目か。日が立てば何か変わると思っていたがそう甘くはいかないようだな・・・・。」 そう呟くと広場を後にし、扉を開く前に振り返りまた呟いた 「剣狼よ。我が声が聞こえているならば、今すぐ我が下に・・・・」 第四話 情熱と古剣と土くれと 「マスター朝だぞ」 ロムの呼び掛けにうっう~んっと小さな声を出し、ルイズが上半身を上げて背伸びして一言 「服」 ロムは服と下着を前に差し出し後に向く 「着せて」 そして目を反らしつつボタンを一つづつ掛けていく 「鏡」 最後にルイズの目の前に鏡を掲げる 「よし、準備出来たわね。食堂へ行くわよ」 二人の朝は大体こんな感じである 「おはようルイズ」「・・・・・・・・」 「なんであんた今日もそこにいるのよ」 ルイズが何時も座る席の近くに最近になってキュルケとタバサが座るようになった。どういう理由かはわからないが 「おはようロム、今日も一段と凛々しいわね」 「おはようキュルケ、君も元気そうだな」 「ちょっとキュルケ!人の使い魔に話かけないでって言っているじゃない!あんたもそれに答えないでよ!」 「あらあら私達そんな事気にする間じゃないでしょ。ね~ロム♪」 「ま、まぁ」 あの決闘以来キュルケが自ら積極的に関わってくるようになった、しかも何故か最初に会った時より色っぽい (先週まで犬猿の仲だと思っていたが、女性とは心変わりが早いな) まあ兄さんが原因なのですが そんな中でタバサは相変わらず黙々とパンを千切りながら食べている 「・・・・最近パンが美味しくなった」 「そういえばそうね~、コックでも変わったのかしら?」 「あんたが居なければもっと美味しいのに」 ルイズは下にいるロムに顔を向けると 「・・・・なんであんたは顔をそらしているの?」 「いっいや別に・・・・」 そう言いつつやけに動揺していた ルイズが授業に出ている時、ロムは洗濯等に時間を使う。 一週間も立てば慣れた手付きで進めていく、そこへ 「あら、おはようございます」 腹黒、もといシエスタがやってきた 洗濯道具と白いシーツの束で腕が埋まっている 「今日は早朝ではないのですね」 「ああ、昨日本当はこの時間に洗濯をやるといいって聞いて、今日からそうする事にしたんだ」 計画通り!って顔になるシエスタ。しかしロムはそれに気付けなかった 洗濯している時間は会話が弾み、楽しそうであった。物干し竿に架かった白いシーツも風によって気持ち良く靡いている 「そういえばマルトーさん達が言っていましたよ。「今夜は遊びに来い。腕を奮って待っているぞ我らの剣」って」 「ではそうさせてもらうよ。ただし酒は勘弁してくれって伝えといてくれ」 シエスタはクスクス笑う 以前酔っぱらっいながらモチヅキさんを説教していた事を思い出したからだ 「じゃあ私は昼食の準備がありますのでこれで」 シエスタが微笑みながら学院に戻って行く、ロムもそれを微笑みで返す そしてその様子を一体のサラマンダーが舌をチロチロと揺らしながら見ていた そして夜、ロムは何時もの用に広場から戻る。今日は酔ってはいない 「さて、明日の準備をしなければ・・・・ってなんだあれは」 部屋の前にサラマンダーが腹這いになって寝ていた 「お前は・・・・確かキュルケの、そう、フレイムだ!」 手をポンっと叩くとフレイムは目を覚まし、そのギラギラと輝いているがどこか愛嬌のある目をロムに向ける 「きゅるきゅる(かぷっ)」 「むっ、こっこら、手を噛むな!それにその部屋は」 フレイムはロムを開けっ放しのドアへと引っ張って行く。しかしその部屋は・・・・ サラマンダーの気紛れではなかったら何なのだろうっと思ってドアをくぐった 部屋は真っ暗だった。サラマンダーの火で周りがぼんやりとと見える 「扉を閉めて?」 奥からキュルケの声が聞こえる、ロムは言われるままに閉じる そしてサラマンダーが奥へと歩いていくと・・・・ 「ようこそ、こちらにいらっしゃい」 やたら露出度の高い下着姿を着ているキュルケが表れた、大きな胸が小さな火によって綺麗に輝いており、今にも飛び出してきそうだ 「なっなっなっなんて格好をしているんだ!」 「しっ大きな声を出さないで。皆に聞こえちゃう」 口の前に人差し指を出して妖美に笑う 「隣に座って」 言われるがままにロムはベットに座る 頭の中が混乱して良くわからない様子であった 「あなた、あたしをはしたない女だと思っているでしょ」 「い、いや、そんなことは無い」 「いいのよ無理しないで。仕方が無いのよ、あたしの二つ名は『微熱』」 「知っている」 下着の隙間から見える谷間がなんとも言えない・・・・ あのマスターのそれとは比べ物にならない、そう何時もなら考えもしないことが頭に浮かんだ 「恋しているのよ、私、あのギーシュを倒した時から あれは格好よかったわ!まるでおとぎ話の勇者みたいで!!あたしねそれを見て痺れたのよ!信じられる!?」 「あ、ああ」 突然興奮しはじめてたキュルケに惑うロム。 そして彼女はこう言った 「どんな氷でも燃え上がった人の心は冷やせない・・・・、恋によって燃え上がる心 人はね、それを『情熱』と呼ぶのよ!」 「そ、それは俺の・・・・」 「いいのよ、そう思われたって・・・・、でも私はあなたに恋をしているの、それは確かなことなの!」 キュルケがそう言った時、窓を叩く音がした そこには、恨めしげに部屋を覗く男がいた 「キュルケ・・・・。待ち合わせの時間に来ないと思ったら・・・・」 「ペリッソン!ええっと二時間後に」 「話が違う!」 キュルケが杖を振り、ロウソクの火を大蛇に変える それに襲われた男は無惨にも落ちていった 「・・・・今のは」 「ああ、お友達よ、でね」 「キュルケ!その男は誰だ」 (また出てきた!) 「スティックス!ええと、四時間後に」 「そいつは・・・・」 キュルケは再び炎の大蛇で追い払う、当然男は落ちていった 「・・・・・・・・」 「それにしても、熱くないのいつも鎧着ていて?ねぇ、今すぐ脱いで立派な貴方の体を」 「「「キュルケ!!!」」」 (今度は三人か!) 「フレイムー」 呼び掛けられたサラマンダーが起き上がり、三人に向かって炎を吐いた。 三人は仲良く落ちていった 「もう、埒があかないわ!とにかく、愛している!」 そう言うキュルケはロムに向かって唇を近づける そしてここに来てロムは最高に戸惑う 「ちょっと待ってくれ!こっちも事情というものが」 その時、勢い良くドアが開いた また男か、と思ったがそこに立っていたのは目に炎を浮かばせ顔を真っ赤にしたネグリジェ姿のルイズであった 「あらあらどうしたのミス・ヴァリエール?こんな夜遅くに」 「ツェルプトー!何あんた人の使い魔に手を出しているの!?」 余裕を見せるキュルケに怒りをばら蒔くルイズ、いかん、これではまた決闘が起きる。 そう思ったロムは 「マスター部屋に戻ろう」 自分から身を引く事にした 「あら、お戻りになるの?残念だわ。じゃあまたねダーリン(チュッ」 キュルケはロムに向かって名残惜しそうな目で投げキッスする 「ひっかかっちゃダメ!何時もの手なの!」 ルイズはロムの手を引っ張って部屋から出ていった 部屋に戻ったルイズはドアに内鍵をかけてつり上がった両目でロムを見た 「今日は戻って来るのが遅いと思ったら、どーしてあんな女の誘いなんかに乗るのよ!」 起きているのか!っというツッコミは置いといて逸らさずルイズの目を見るロム 「なんでツェルプトーなんかに尻尾を振るのよー!」 「すまん、彼女の誘いを真に受けた俺が悪かった」 ロムは頭を下げるがそれでも怒りがおさまらないルイズはロムに杖を向けた すると目の前で突然爆発したではないか! 「ぐわ!っ何をする!」 「お仕置きよ!こうしないとまたあいつの所へ行くでしょ! それにあんたいつも鎧着ているでしょ、だから鞭なんて効きそうにないからこうよ!」 ドカン!また爆発した 「なっちょ、ちょっと待ってくれ!」 ロムは隙を付いてルイズの手首を握って振れないようにする 「はなしなあさいよ~!」 「マスター、落ち着いて俺の話を聞いてくれ!」 「離したら聞いてやるわ!」 「っであんたは剣が欲しくてたまらないから毎晩広場で流れ星を待っていた、その帰りにあいつに誘われたって事でいいのね」 「ああ、若干違うがそれで頼む」 「そういえばあんた騎士みたいな格好しているけど剣を持っていなきゃしまらないわね」 するとルイズは下を向いて手を顎に付ける そして閃いたように再び前を向いた 「わかったわ、あんたに剣を買ってあげる」 「ほっ本当か?」 「ええ、あんた剣が無くても強いけどね。でも私はご主人だから、使い魔には充分な物を揃えてあげなきゃ」 「ありがたい、感謝する」 「わかったらさっさと寝る!明日は虚無の日だから街に連れていってあげる」 こうして今日が終わるのであった 明日剣を買いにいける、ひょっとしたら剣狼が見つかるのかもしれない、そんなことを期待しながら毛布を被るロム しかしロムはある事に疑問をもっていた (どうして人の目の前で爆発なんて器用な事が出来るようになったんだ?) そんな事を考えながら窓の向こうにある夜空を見てある事を思い出す (ルイズは授業が終わってから魔法の練習するようになった。だが今日先週と同じ魔法を使った所失敗したらしいな。 ちゃんと練習したなら何故成功しない?何故爆発ばかりする?) そこで出た結論・・・・、それは (まさか・・・・、爆発を起こす練習もしていたのか!) そう、ルイズは授業の予習復習だけではなく調教用の爆発の練習もしていたのだ。 しかし悲しいかな、そればかりが上達するようになっていったのだった ロムは二時間寝た後、再び目を覚まし、落ち込んだ 一方学校の外ではローブを着た女性が立ち、二つレンズは月によって輝いている その顔は妖しい笑みを浮かべレンズの奥にある目は宝物庫を見つめていた もう一方で奉公人の詰所。 黒髪の少女が首都で働く従姉妹の手紙と共に届いた袋を開けていた その中には赤、白、青で配色がなされた下着が入っており、それを見てとても喜んだそうな
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「アリアンロッドリプレイ・ルージュ」よりトラン=セプターが召喚される話 ルイズと再生の魔法使い・プロローグ
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前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝 第一章~旅立ち~ その2 月下の魔法学院 「こいつはすごいや、本当に違う世界なんだな」 初めてヤクイニックに召喚されたときのことを思い出しつつ、ムサシは独り言ちた。 空にぽっかり浮かぶ双月は、らせんの塔へ向かう途中に見た明け方の満月を呼び起こさせる。 自分の胸が疼くのを、僅かに感じた。 「二つのお月様が綺麗だぜ」 「何やってるのムサシ、こっちが私の部屋よ」 「ああ、広いなーここは。お城みてえだぜ」 「お城?あんた……まさか……」 「ん?」 「王宮に盗みにでも入ったことあるの?」 「なっ……誰がドロボーだって!?とんだ濡れ衣だぜっ!」 いつぞやの鐘ドロボーのような扱いをされるのはゴメンだった。 ムサシは遺跡のお宝や英雄として使う権利のある伝説の武具しか頂戴した覚えは無い。 「ウソおっしゃい、あんたみたいなナリの子供がお城に縁があるわけないでしょうよ」 「人を見た目で判断してもらっちゃ困るぜっ!おいらは城住まいだいっ!」 「はぁ!?」 いよいよもってルイズはこの使い魔がわからなくなってきた。 無礼な物言い、粗末な身なり。 かと思えば城に住んでたと言い出す始末。 子供のことだ、嘘をつくのは不思議ではない。 しかし決定的にムサシについての情報が足りない今、信憑性はともあれ詳しく話を聞く必要があった。 「……ともかく、あんたにはいろいろと聞きたいことがあるわ、ほら入って」 一日の終わり、部屋に入る瞬間は多少なりとも開放感に包まれるものだが、今日はここからが本番だ。 そういえば男性を部屋に入れるのは初めてかもしれない、ルイズはふとそう思った。 「ムサシ、あんたは何者なの?」 「何者……って言われてもなあ」 「あんた、『また召喚』って……あのとき言ってたわよね。それが気になってるのよ」 「ああ、そのことか」 ムサシは己の長いというべきか、短いというべきか、おかしな経緯の半生を語った。 ヤクイニックなる王国の姫が行った英雄召喚の儀式によって、自分の生まれた世界から召喚されたこと。 その召喚のショックで、自分の過去に関する記憶はほとんど消えてしまったこと。 過去の英雄、武蔵が魔人を封印するために使ったという光の剣を手に、王国の危機を救ったこと。 「おいらは役目を終わらして帰る途中に、ここに喚ばれたんだ」 「……子供の好きそうなお伽話ね」 「疑ってんのかっ?」 ルイズが頭を抱える。 今の話が作り話だと言われればまあ、納得できないこともない。 10歳そこらの子供だ、夢いっぱいの年頃だろう。 作ろうと思えばいくらでも作れる。 だが、今は判断材料が無い。 「あんたが別の世界から来たって言うなら、証拠とか無いの?」 「なんだよ、疑り深いなあ……ほら、これ見てみろよ」 「……このラクガキがどうしたってのよ」 「あ!おいっ!」 ルイズが手渡された紙切れをぞんざいに放ろうとしたので慌てて制す。 他人には無価値に見える化かもしれないが、これは大切な友達から託されたメモなのだ。 「な、なによ」 「……こいつはおいらの友達が命がけで手に入れた、大事なもんなんだ!乱暴にすんな」 なによ、そんならそうと言いなさいとぶつくさ漏らしながらルイズがもう一度覗き込む。 が、やっぱり妙ちくりんな図形の集合体にしか見えない。 「……やっぱりラクガキじゃない」 「読めないだろ?こいつは、おいらが前にいた世界の文字だ」 「適当言ってんじゃないわよ、あんたがデタラメ書いてるかもしれないじゃない」 「なら、こいつでどうだい」 もう一つ、こちらも古びた紙を見せられる。 今度は図のように文字が規則正しく並んでいる。 文字自体は先程同様さっぱりわからなかったが、ルイズはこの並び方にどこか近視感を抱いた。 「……暦?」 「おお、カンがいいな。こいつはカレンダーって言う日にちと曜日を図にした表だ」 「……今度もラクガキ……にしちゃ綺麗ね」 日数はほぼ同じといったところだが、曜日が一つ少ない。 むろん曜日を一つ数え損ねた子供の贋作とも思われた。 しかし、製紙技術、印刷技術共にここハルケギニアでは類を見ないほどに整っている。 子供のラクガキで片付けるには、できすぎだった。 「うーん。ま、わかったわよ、あんたは違う世界の……」 「やっとわかってくれたか」 「……お城に住み込みの小間使い」 「おい!」 「だってあんた子供じゃないの。国の危機を救うとか、伝説の剣豪だとか。誇張も甚だしいわよ」 「ほんっとーに疑り深いなお前……」 「口を慎みなさい。どっちみち私はご主人様、あんたは使い魔。 異世界だろうが伝説の剣豪?英雄?だろうが、これは変えられない現実なのよ」 一度引き受けると言ってしまったムサシはぐうの音も出ない。 思えば英雄召喚のときも、こんなふうに理不尽きわまりない冒険のはじまりだったことを思い出す。 いきなりおかしな世界に召喚され、いきなりモミアゲと身長にケチをつけられた。 加えて自分にとって縁もゆかりもまるで無いお国のために、単身命を張ってル・コアール帝国と戦うハメになってしまう。 その上使命を果たさねば帰還は許されない、断ることは許されない言わばこれは脅迫じみた懇願だった。 今回の状況もまた、それに近い。 やっと自分が元いた世界に帰れる、と思った直後に半永久的奴隷として身柄を拘束されるという始末。 今回はもとより帰れない、そしてなにより逃げることもできたのに引き受けてしまった。 ムサシは自嘲めいた笑いを浮かべて思う、自分はとことん安請け合いだなと。 だが、ムサシは英雄召喚同様、腹が立たなかった。実のところ、この状況ですら楽しんでいる。 自分がどうしようもなく愛する「決闘」が、また待っていると体全体が感じている。 新天地には敵がいる。まだ見ぬ強者が待っていると、武者震いがムサシをワクワクでいっぱいにする。 帰れる帰れないは、後回しだ。 もともと、帰れないと言われてハイそうですかという気は毛頭ない。 気ままな冒険はきっと帰還への旅路も兼ねていると、ムサシのカンがそう告げるのだった。 使い魔、という肩書きは少々うっとおしいものの、じき慣れるだろう。 重荷なら何度も背負ってきた。 それにこの世界の最初の知り合いであるルイズという人間は、幼さを感じさせてならない。 アミヤクイ村のテムとミントにも穏やかに接する、ムサシは世話焼きなのであった。 「ったく、しょーがねーなあ。使い魔ってのは何したらいいんだ」 やる気になったと見えてルイズはやっとムサシが自分の立場を理解したかと大いに薄っぺたな胸を張った。 実際はムサシが『面倒見てやってやるか』という思いであるのだが。 記憶が無いとは言え、その実年齢は一回り二回り上なムサシに偉ぶる少女というのは少々面白い光景である。 「えっとね、まず第一に使い魔は主人の目、耳となること。感覚を共有するってやつね」 「へえ、そんなことができるのかルイズは」 「ううん、何も見えない」 「ダメじゃねえか」 「うるさい!次に主人の望む……秘薬の材料、植物とか、苔とか……集めてこれる?」 「ああ、そんならいっぺんやったことがあるぜ」 ムサシが思い出したのは、ヴァンビになってしまうテムくんを救うためにまぼろしの花を回収したこと。 いやしの水もふたご山から汲んできたなあ、と遠き地の情景に思いを馳せた。 「でもおいらこっちの植物とかなんてまるきり知らないなあ」 「ああもう使えないわねえ……これが大事なんだけど、使い魔は主人を守るものなの」 「なんだ、それならムサシさまの得意技だぜっ!」 ルイズは自分より頭一つ分低いムサシの顔を見下ろして、首を横にふった。 そして溜息。 「はいはい頼もしいですこと伝説の剣豪様……」 「あっ!信じてねえなっ?」 「はぁ~ぁ……あんたみたいなチビには最初から期待なんかしてないわよ」 「ちくしょー、バカにしやがる……」 「いいから、とりあえずあんたの仕事は洗濯、掃除、身の回りの世話。そんくらいできるでしょ」 ムサシもまた溜息をついて後ろを向き、座り込む。情けないことこの上無かった。 まあ子供の姿で信用されないのは仕方ない、英雄召喚のときも最初はそうだった。 前の城暮らしよりは厳しいとは言え、寝床があるだけでもよしとしよう。 しかしながらこの状況、冒険とは程遠く感じられた。 ムサシの行動理念の8割以上を占める『決闘』が見いだせない生活が続きそうである。 それはひどく退屈なものだった。 抵抗としてジト目でルイズを見るもむこうはあくびをするだけである。 「ふぁあ……眠くなっちゃった、他にもあるけど、細かいことは明日話すわ」 「ああ、そんじゃおやすみ」 「ん」 ルイズがムサシの目も気にせずに薄いネグリジェにさっさと着替える。 少年に退行したムサシにそう羞恥や情欲といった感情は湧かないのだが。 日本男児として、はしたねえなあ、と思ってしまう。 「そういやおいらもこの部屋で寝ていいのか」 「まあね、それで寝床なら……」 「よし、おいらもさっさと寝るぜっ」 使い魔用にと用意していた藁束を指差そうとするルイズ。 しかしムサシは自分の荷物からごそごそと何か取り出すと広げた。 「なによそれ」 「こいつは『伝説のねぶくろ』だぜ! 「伝説?ねぶくろにどんな伝説があんのよ」 「ああ、肌触りといいあったかさといい最高だぜ」 「そ、そんなに?」 「そこいらのベッドより、ぐっすり眠れるぜ!」 ルイズはなんだか羨ましくなってきた。 自分のふかふかのベッドも、肌触りのいいシーツも、少し霞んで見えてしまう。 そんな魅力が伝説という響きに詰まっている。 「つ、使い魔がそんなに上等なモノに寝るなんて生意気よ!ちょーっとご主人様にそれを貸しなさ」 「そんじゃ、おやすみっ!」 「あ、待っ」 とたんに高いびきをかきだすムサシ。早すぎる。 使われること無い藁束が無性に邪魔に思えて、もそもそ起きて片付け始めるルイズ。 終わってからなんで自分がやってるのかと、眠るムサシの頭を腹いせにすぱーんと叩くのであった。 起きなかったけど。 前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝
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-‐‐'´ `ヽ、 / \ / / ヽ \ / / / i ヽ ヽ | / / / / | i } 〆 | | | / / /| _L | 〆 | | - 十卅十|ト、/ /レ ィi「 /| リ 〆 | | |ィ厂テトミ 从.{ f爪}「 〉| ィリ 〆 | | |i {.辷リ {心リ イ/ィ 〆 / ∧ i| 、 `¨ / |\ 〆/ i| ', ,. - ァ ∧ |ゝ \ r-、/ィ / ∧ \ ` -' イ| \ \∧ } ノムイ { / /⌒| \` ー r<ー┐ \ \| //´- |././ / i| i >rく \ \ \ \ /イ/r ┴ヘ 〉 / iト、//ヽ\| \ \ | レ'  ̄// ̄ ̄___ノ i| \| Tア| / \ } |r'´ / ___ノ‐ ∨/ / ∧ / ∧ イ\__ ゝ | / ー ノ’ |/ イ |\ \ \ー――‐ / \ / ∨__/ \ \ \ \ / ∧ / / | \ ∧ \. \ / /| ( ( / \ ヽ ノ \. \ イ| | \ \ \ / \ | 名前:ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 所属:デュエルアカデミアパリ校 ライディングデュエル部 所持デッキ 【次元エアトス】 3神獣王バルバロス 2ガーディアン・エアトス 3可変機獣 ガンナードラゴン 2輪廻天狗 2ヴェルズ・マンドラゴ 3異次元の生還者 2強欲で謙虚な壺 3次元の裂け目 1エネミーコントローラー 2サイクロン 3禁じられた聖杯 3闇のデッキ破壊ウイルス 3闇霊術-「欲」 1スターライト・ロード 2追い剥ぎゴブリン 3スキルドレイン 3マクロコスモス 1神の警告 1スターダスト・ドラゴン 1聖刻神龍-エネアード 1No.107 銀河眼の時空竜 2No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル 2ジェムナイト・パー 2ヴェルズ・ウロボロス
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前ページルイズ・キングダム!! 新鮮な野菜にたっぷりのマヨネーズをかけて、人間1人を黒コゲにできる強火で一気に焼き上げた香りはたまらない。 戦っている最中からグウグウと食欲を訴えていたお腹も、もう堪らなくなっている。 「ううっ……この薔薇よりも美しいボクのボディラインが……マリコルヌよりも太く……」 「うるさい」 隣で独り苦悩ゴッコに浸っている丸いギーシュに、思わず悪態をついてしまった。 焦るべきではない。ワタシは食事をしたいだけなのだ。 空腹でイライラするのは、私の流儀では無い。 目の前では忙しく走り回る小鬼達。 木を削って作った大き目の皿に、焼き野菜を盛り付けて分配している。 ……しかし野菜だけというのは寂しい気もする。 贅沢を言う気はないが、やはりバランスというのは大事では無いだろうか? と、一匹の小鬼が荷物を開いた。 中からは次々と、大きめの木の葉で包まれたライスボールが現れる。 綺麗な三角に握られたソレは、塩をきかせて黒い海草の加工品をまかれていた。 うん……ゴハンがあるなら話は別だ。 目の前の多種多様な野菜が、全てオカズとして浮き上がってくる。これはとてもイイ。 メインの大きなマヨジャガはほっこりと美味しそうに焼きあがっている。 おイモはぜったいに大盛りで食べようとココロに決めた。 ニンジン、ピーマン、タマネギ、ナスの組み合わせは彩りも嬉しいカンジだ。 巨大なカボチャは潰されてポタージュスープになって出てくる。 そこに、カボチャ頭の胴体、貴重な肉の部分を具として煮込んであった。 うん。これは実に御馳走だ。 彩りに浮かんでいるハシバミ草はもっと大量でも良かったが、まぁこれはこれで満足。 更に桃色髪のルイズ(職業・料理人)が即席でタマネギとキューリをピクルスにしていた。 これは正解だと思う。 こってりとしたマヨネーズ焼きの中で、きっと凄く爽やかな存在になる。 「うおォン! 私はまるで人間火力発電所です!」 ふと見ると、まだ生焼けの野菜をひたすら焼いているコルベール先生の姿。 言動は意味不明だが、一心不乱に焼きの作業に没頭する姿は崇高ですらある。 ピカピカの頭皮も一層美しく輝いて見えた。 「いただきます」 一足先に、ホカホカのイイトコロをいだだく。 百万迷宮生まれの野菜は普段食べている野菜よりも硬い。 硬くて……でもマズくは無い。うん。マズくはない。 なんというか、全体的に濃厚でしっかりした野菜の味がするし、血を吸っているせいか旨味も強いのだ。 普段は野菜より肉の方が好きな私の使い魔、シルフィードも喜んで食べている事からもそれは明白。 なによりやはりマヨネーズまみれの味は、下品で単純だったがわるく無い。 むしろいい。うん、こーゆーのがいいのだ。 なんと言うか、マヨネーズの味は女の子だと思う。 その証拠に、太ったキュルケも美味しさに負けてしっかり食べているのだから。 「なんでキミまで食べているんだいミス・ツェルプストー! 僕達はダイエットして体型を元に戻すべきじゃないのかね! あえて言わせてもらおう! この裏切り者とッ! いいかっ、僕は食べない! 絶対に、何があっても、始祖にかけて食べないねッ!!」 「うるさい」 騒ぐギーシュの関節を思わず掴んでしまった。 こんなのは私の流儀ではないけれど、もう止まらない。 手首を固定しヒジを捻り上げ、ニワトリの手羽を捻るような形にして締め上げる。 「な、なにをするんだねミス・タバサ!」 「あなたはうるさい。読書の時とものを食べる時には、誰にも邪魔されず自由で……救われていなければいけない。独り静かで、豊かで……」 「ギブ! ギブアップだミス・タバサ! って言うか折れるっ! 真剣に折れるからっ!」 <ルイズ・キングダム!> 「……最後の二枚が重かった」 「いやタバサ、アンタ一人前のお皿10枚ペロリといってたから」 なんて事はまぁ、余談である。 ルイズ達は、まだまだ森の中をさまよっていた。 オヤツに焼き野菜のマヨネーズ風味をたらふく食べてお腹一杯。 『小鬼小王』クロビスと『血塗れ』ギーシュ、それに『カロリー過多の』キュルケは、まだ肥満したまんまだ。 まるい。とってもまるい。歩くより転がった方が早いぐらいまるい。 とは言っても実際には全員キンギョに乗っての移動だが、乗られているキンギョも重そうにしていた。 「……なんか今、すっごく失礼な二つ名で呼ばれた気がするわ」 「どうかしたのかい、『カロリー過多の』キュルケ?」 「どうかしたの、『カロリー過多の』キュルケ?」 「どっちから黒コゲになりたいのかしら、『血塗れ』ギーシュ、『ゼロの』……いいえ、『お肉の』ルイズ?」 ビキィ!っと擬音付きで額に血管を浮かばせて、キュルケの掌に火の玉が生み出される。 気まぐれな猫を思わせる眼は悪鬼のように吊り上がり、真紅の髪は炎のように逆立つが―――それでも何処かコミカルなのがデブの悲しさだった。 ブックリほっぺやポッコリお腹なんか、突付くと気持ちいいんじゃないかと思わせる。 ちぃ姉さまが飼ってる猫にも、こんなカロリー過多なデブネコが居たわねぇと、ほのぼのした気分になってるルイズであった。 「だいたい、一緒にマヨネーズを浴びたのに、なんでルイズとタバサは平気なのよ! なんか不公平じゃない?」 今度はムキーッと叫んで文句を言うキュルケ。 カルシウムが不足してるのかもしれないとタバサは冷静に考えた。けっこうヒドイ。 そしてその冷静さのまま、じっと自分とルイズの胸を見る。 続いてキュルケの、普段以上のサイズに膨れ上がった胸を見つめて、口を開く。 「体質?」 「「「「「……(じーっ)……(じーっ)……あー、ナルホド」」」」」 その言葉にルイズを除く全員が三人の胸を見比べ、そして納得した。 タバサは小柄な見た目に似合わぬ健啖家だし、ルイズは大食漢では無いが決して小食と言うワケでは無い。 なのに、悲しいかな身体全体、特にホントは欲しいある部分にも脂肪が付きにくい体質なのである。 「ちょ、待ちなさいよ! あるわよ! 私だって多少はその……ダバサよりは有るんだからね!!」 「なに言ってんのよ。胸も『ゼロ』のクセに」 「……ドングリの背比べ」 「なぁにミス・ヴァリエール。胸の無い女性だって、それはそれで魅力的なものさ!」 「まぁその、貴女はまだまだ成長期ですから、希望を捨ててはいけませんぞ、ミス・ヴァリエール」 誰も「有る」とは認めてくれなかった。 キンギョにつっぷしてグッタリとうなだれるルイズ。 背中に雨雲でも背負いそうな落ち込みっプリである。 流石にちょっと可哀そうかなーと、キュルケやコルベールは慰めの言葉を捜して様子を窺うのだが、そんなルイズに「空気読まない度」ではギーシュに匹敵するクロビスがのほほんとした様子で声をかけた。 「なー、ルイズ」 「………………なによ、まるっ小鬼? アンタも巨乳になっていい気になってるの?」 たっぷり30秒はかけて再起動した途端、ルイズは自分の使い魔にインネン付ける。 小鬼相手に巨乳も何もありえないのだが、傷心のルイズに道理は通じないのであった。 しかし、インネン付けられた方はそんな事にも気づかないナイロンザイルの神経の持ち主。 クロビスの一言は、ルイズのガラスのハートに更なる一撃を加えた。 「なんでルイズは『ゼロ』って言われてたんだー? やっぱり胸がゼロだからなのか?」 「―――死なす!」 両目をギラリと殺気に輝かせ、ルイズは杖を振り上げた。 最早理性のカケラも無い。 怒りに任せてコンマ一秒でファイヤーボールの呪文を唱え、クロビスに向けて解き放つ。 が……当然巻き起こるのは魔法失敗による爆発だ。 これこそルイズが『ゼロ』と呼ばれる、魔法成功率ゼロの証たる失敗魔法。 だが、その魔法はただ失敗しただけではなかった。 アサッテの方向で爆発した魔法から、なんと小鬼が出現したのだ。 その数4匹。 「あれっ?」 唖然呆然と現われたばかりの小鬼を見て沈黙するメイジ達。 角度15度ぐらいに首を捻って、今度は『明り』の魔法を試してみるルイズ。 ポンという爆発音と共に、またもや八匹の小鬼が出現した。 「えーっと……なんで?」 「――――――母神様じゃあ!」 首の角度が32度ぐらいになったルイズに答えたのはオババだ。 驚きからか、その糸のように細い眼がカッとまん丸に開かれている。 「母神様?」 「そう。今の魔法は、我等小鬼を生み出す母神様のチカラと同じものに違いないじゃ」 そしてオババこと『話の長い』バゼバゼは語り始めた。 それは遥かな昔、神々の時代の事だ。 ある所に、とても真面目だが限りなくドジっ娘の女神が居たと言う。 掃除をすれば花瓶を割り、お茶を入れれば転んで相手の頭にひっかける。 コピー(謎の神代語)を頼んでもトナー(謎の神代語)を詰まらせるのは日常茶飯事。 そんなドジにほとほと困った上司神は、誰にでも出来るとても簡単な仕事を女神に命じた。 すなわち、小鬼討伐。 小鬼は弱い。ほんとーに弱い。とことん弱い。 転んだだけでも死ぬし、強い酒を飲んだだけでも死ぬし、何も無くても死ぬ。 実際、先程の戦闘でも「マヨネーズかけられ死」した小鬼多数という状況なのだ。ナムナム。 だから小鬼討伐など神にとってあまりにも簡単な事のはず。 しかし、そんな弱っちい小鬼にも一つだけ特殊な能力が有った。 【仲間を呼ぶ】というその能力は、攻撃を受けた時に相手が絶対的な失敗をすると小鬼が1匹増えるというもの。 そして女神はいつだって絶対的に失敗する超ドジっ娘。 かくして神代の時代から小鬼を攻撃しては絶対失敗を繰り返す女神によって、小鬼は今日もどこかで増え続けているのだと言う。 ゆえに、オババをはじめ一部の小鬼はその女神を『母神』として崇めているのだ。 母神の名は「ファンブル」。 どんな不信心者も決して逃れる事が出来ないと言われる、いにしえの女神である。 「つまり……私が魔法に大失敗するから小鬼が増えるって言いたいワケ?」 「そのとおりじゃー。ありがたやー、ありがたやー」 「―――殺す!」 ナムナムとルイズを拝むオババ&その配下の小鬼信者団。 ルイズは再び怒りのファイヤーボールを炸裂させようとして、やっぱり失敗。 ―――小鬼が11匹増えました。 orz<ルイズ 「いや、しかしこれは素晴らしい能力ですぞ!」 「なんの役に立つって言うんですか、こんなのが……」 「いやいや、知性を持った生命体を無から生み出せるなど、並大抵のメイジには出来ない偉業とおもいませんか?」 善人のコルベール先生は、突っ伏したルイズを必死にフォローしようとしてくれる。 しかし。 「でも小鬼は何もしなくても増えます、ミスタ・コルベール」 失意に沈むルイズのヤサグレ度は深かった。 あまりのヘコみっプリにコルベールも言葉を無くしかけるが、しかし先生なので頑張った。 「そ、それは……いやしかしですね、例えば急に小鬼が沢山必要になった時などはとても有用な―――」 「例えばって、どんな時にそんな事が必要になるって言うんです」 「それはその……」 「なールイズ、その例えばって―――」 ――こんなトキじゃないですかね?―― クロビスとダッパ君がルイズに声をかける。 その声が震えているような気がして振り向けば――― 「グララァガァ! グララァガァ!」 ―――2匹の象が、いた。 ただの象では無い。 白い巨体は森のどの木々よりも大きくて、三日月のように反り返った立派な牙は六本。 大木のような足も六本足で、目は火吹き竜のように真っ赤でギラギラと輝いている。 「グララァガァ! グララァガァ!!」 巨象の名はグララァガァ。 百万迷宮のお伽噺にいわく、誰かに酷く虐められた時、お月様とサンタマリアに祈って手紙を書けば来てくれるという。 2匹も居るのは、きっとハルケギニアのお月様が二つもあるからに違いない。 しかし残念な事に彼等は小鬼やルイズを助けに来たワケではなく、くしゃくしゃにしてしまうために現われたようだった。 大きな足が唸るたび、長い象牙が轟くたび、何匹もの小鬼がまとめてくしゃくしゃにされてしまう。 そもそも生き物としてのサイズからして、小鬼にどうにかできる相手ではない。 コルベール先生が懐から、ハグルマ資本主義神聖共和国でよく使われるような六連発の拳銃を取り出してパンパンと撃ったけれど、 グララァガァの肌に弾丸は刺さらないし、象牙にあたれば跳ね返るし、1匹などは「おや、顔がパチパチするなぁ」などと言う始末だ。 「くそっ! 行けっワルキューレ!」 「ファイヤーボール!」 「エア・ハンマー」 慌てて次々と魔法を唱える三人のメイジ。 しかし、炎と風はグララァガァの肌ではじけてしまい、突き刺そうとしたワルキューレの青銅の槍はグンニャリと曲ってしまった。 しかし、その攻撃のせいで、グララァガァに敵と認識されたのだろう。 真っ赤な目から火を噴出しながら、白い巨象はギーシュ達に襲い掛かってきた。 その前に立ち塞がる小鬼王国の精鋭達―――は、鞠のようにポーンと跳ね飛ばされる。 壁にもならないどころか、一行分の時間稼ぎにもなりゃしない。 迫り来る六本×2で十二本の牙。 当たれば小鬼よりは頑丈なメイジ達でも、くしゃくしゃにされてしまうだろう。 恐ろしいその攻撃から彼等を守ったのは、キンギョであった。 ギーシュが、キュルケが乗っていたキンギョが、その身を犠牲にして乗り手を『かばう』。 当然のように忠実なキンギョ達は息絶えるが、そのおかげで貴重な時間を稼ぐことが出来た。 「…………(小鬼忍法)………………(大小鬼の術!)」 モークの必殺忍術が発動する。 それはあまりに強力なため、新版ルールからは削除された小鬼必勝の戦技であった。 巨大な小鬼は存在する事ができるのか? 出来る。出来るのだ。 ある者は脚を、ある者は腕を、ある者は胴を担当し、およそ10匹の小鬼が一つとなる。 どこから調達したのか木材で組んだ骨組みと、木を引っこ抜いてきたような棍棒を持った姿は、群体にして一体。 既に体格においてグララァガァにも劣らない、それは巨怪と呼ぶべきモンスターであった。 巨体が奔る。 時ならぬ激突に、平和でのどかだったはずの森が激しく揺れた。 グララァガァの振り回す長い鼻を身体で受け止めて、巨大な棍棒で殴りつける大小鬼。 大小鬼の突進を軽々と受け止めて牙を突き刺すグララァガァ。 あんまりな戦いに巻き込まれないように、算を乱して逃げ回る小鬼とルイズ達。 巨大な脚のそばを右往左往するその姿は、逃げ惑う無力なアリンコのよう。 「ってゆーか、なんでこんなのが学校のそばの普通の森に住んでるのよ!」 「それよりルイズ、もっと小鬼を召喚するのだ! これは国王の『勅命』である!」 ルイズの悲鳴を無視してクロビスが叫んだ。 その言葉に、なぜか反発するよりも勇気が湧くような気持ちになる。 普段以上の魔力を込めて、ルイズは力強くファイヤーボールの魔法を唱えた。 まぁ当然失敗するんだけど。 しかし目論みは当たって、爆発の中から現れる15匹の小鬼。 その小鬼達に向かって、モークは再び忍術を行使した。 現われる2体目の大小鬼。 いや、既に現われていた大小鬼の能力によって、別の大小鬼が出現する。 これで合計3体。数だけなら小鬼王国側が優勢と言える。 尤も2体のグララァガァの攻撃を受けていた最初の大小鬼は既にボロボロだったが、しかし。 ――勝ちましたね―― 「だな!」 ダッパ君とクロビスは余裕の表情だ。 なぜと聞くまでも無く、それは起こった。 前線を新たな2体に任せて、ボロボロだった大小鬼が分解して小鬼の群れに戻る。 その小鬼が、再び組み合わさって大小鬼になれば、なんとまったく元気な状態に戻っていた。 「ルイズ! 再び『勅命』を下すぞ! 魔法を唱えよ!」 「はいはい! もうなんだってやってやるわよ!」 調子が出てきたのか、失敗魔法によって更に現われた小鬼は16体。 それらが、またまた組み合わさって2体の大小鬼となった。 「これは……いったいどういう戦術なのかね?」 更に1体が増えて、既に6対2……いや、グララァガァが1匹倒れたので6対1。 戦況がすっかり優勢になったので、手持ち無沙汰になったコルベール先生はダッパ君に聞く。 答えていわく―――大小鬼は、小鬼10匹で1体の巨怪となる『小鬼合体』と、1体から10匹の小鬼になる『小鬼分離』の能力を持っている。 しかも凶悪なのは、一度分離して合体すれば、それまでのダメージは無かった事になってしまうという部分だ。 2体の大小鬼が存在すれば、理論上無限に戦えるこの「無限大小鬼の術」は、あまりにマンチキンなため神に封じられた禁断の技なのであった。 「ちなみに「マンチキン」って何? 私達の世界には無い言葉みたいなんだけど。生き物?」 「鼻歌歌いながらドラゴンの身包みを剥ぐ、エルフ&ドワーフハーフの勇者という伝説だな。 基本ダメージいちおくまんの魔剣を持ったレベル100の魔法剣士だとか、 時速100キロで走って追いかけてくるとか、笑い声は「ポチョムキーン」だとか、好きな食べ物はべっこう飴だとか、苦手な物はポマードだとか、もし出会ったら「ハイハイワロスワロス」と言う呪文を唱えると退散するとか、 小鬼の間ではポピュラーなお伽噺の、凄く強くて恐い怪物の事だぞ」 「夜寝ない子はトロール鬼が来て食べられちゃう、みたいな感じの?」 ――そうですけど、トロール鬼にはボクたちのばあいホントにたべられますね。ふつうに―― やっぱり小鬼の生活って大変だなーとかルイズがもにょってる間に、いつのまにか戦闘は終わっていた。 重々しく地面を揺らして倒れ伏すグララァガァ。 周囲を囲むのは、棍棒持った6体の大小鬼。 まるっきりイジメの構図にしか見えない。 小鬼とキンギョに多数の犠牲が出たが、終わってみれば圧勝&戦闘前より数が増えているという大勝利であった。 おまけの用語解説コーナー『百万迷宮の歩き方』 【ものを食べる時には、誰にも邪魔されず自由で……救われていなければいけない。独り静かで、豊かで……】 言わずと知れた漫画『孤独のグルメ』の名セリフ。 個人輸入商社長のゴローちゃんがメシを食うだけの、ヤマもオチも努力も友情も勝利も無い話だが、 読んでると定食屋にごはん(特に白米)を食べに行きたくなる、中年マンガ読み必読の名著。 必殺技はアームロック。 【女神ファンブル】 言わずと知れた致命的失敗を表すゲーム用語『ファンブル』から。 『小鬼キングダム』の4コマに登場した「この世の全ての不運を背負う女神」様。 外見はどう見てもメガネOL。神様なめんな。 ついでに上司神の外見はコルベール似の頭をしたチョビ髭オヤジ。マジ神様なめんな。 【グララァガァ】 言わずと知れた宮沢賢治の短編『オツベルと象』の作中セリフ。 迷宮キングダムでは11レベル魔獣モンスターで、二回攻撃する上に泣けるほどタフ。 体力だけならドラゴンに匹敵する60点。つまり小鬼の60倍。 正直、本来なら小鬼ごときが敵うような敵ではないのである。 おや、■、川に入っちゃいけないったら。 【ハグルマ資本主義神聖共和国でよく使われるような六連発の拳銃】 ハグルマは百万迷宮世界の4大大国『列強』の一角で、資本主義かつ神権政治というワケワカラン国家形態の王国。 国民は皆様ワーカホリックで、はるか深階に降りて邪神となった始祖ハグルマに金品を送るために働き続けている。 トレードマークは背広とネクタイ。メカとか新商品開発とか経済原理とかが大好き。 六連発ピストルどころかどう見てもオートマチック拳銃です、みたいなのや、巨大ロボットなど、 百万迷宮の水準でもありえないテクノロジーを駆使するが、まぁ他国も色々ありえないのでバランスは取れている模様。 その突撃強襲営業による商品の押し売りや経済戦争、美人局などは非常に恐れられている。 ちなみに、ここで言う経済戦争は当然のように白刃や銃弾が行き交うのでご注意。 六連発ピストルは『オツベルと象』の作中で資本家の大地主オツベル氏が攻めてきた象を撃った武器。 当然痛痒も無く跳ね返され、オツベル氏はくしゃくしゃにされてしまいました。 ゲームのデータ的には攻撃力六面体サイコロ一個分なので、最大値でも10発は打ち込まないとグララァガァは倒せない。 あと六連発だろーがオートマチックだろーがフリントロックだろーが火縄銃だろーが、 迷宮キングダムに弾切れとか弾込めと言う概念(ルール)は無いので同じだったりする。 【かばう】 キンギョが習得している肉弾系のアドバンスド・スキル。 文字通り、攻撃の対象となったキャラクター1体をかばってダメージを肩代わりする技能。 これを持った低レベルモンスターを配置して、より強力なモンスターを生き残るようにするのは敵側の基本戦術と言える。 ただし多用されると非常にウザイとゆー欠点があるが。 王国側にとっても、体力のあるキャラがこの技能をもっておくのは必須だろう。 好意を持っている相手を『かばう』場合、受けるダメージが減少されるのが嬉しい。 【無限大小鬼】 大小鬼は旧版のサプリメントで追加された小鬼のバリエーションモンスターで6レベル。 ダメージを減らす『外皮』と、敵集団を纏めて攻撃できる『範囲攻撃』を持っている上、 『小鬼合体』『小鬼分離』の能力は作中で書いた通りの反則技の運用が可能であった。 たぶん、新版のルールブックに載って無いのもそのせいじゃ無いかと邪推している。 実は『雲散霧消の』モークはこの『小鬼合体』のスキルを習得していたのです。 もし本当にゲームで使用すると「GM死ね!」と言われるので、良い子はマネしないようにねっ! 【ルイズの失敗魔法とクロビスの『勅命』】 スゲェ虚無の担い手であるスゲェルイズ様のスゲェ失敗魔法は、「六面体サイコロ2個」匹の小鬼を発生させるものとする。 この時サイコロの出目が1・1だった場合超スゲェ失敗なので、名前に「小鬼」と付くモンスターを1匹テキトーに出現させること。 詳しい理由は次回で。 クロビスが使った『勅命』は、国王専用のクラス・スキル。 誰かが使った希望(マジックポイント、あるいは精神力のようなもの)を1点余分に使ったとして計算できるようになる。 ルイズの失敗魔法の場合、効果が二倍になるのでサイコロ4つ分の小鬼が出現した。 前ページルイズ・キングダム!!
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前ページ次ページルイズ・キングダム!! 僕達小鬼~アナタだけについて行く~♪ 今日も~生まれる運ぶ戦うそしてぇ~たぁべぇらぁれぇるぅ~♪ 引っこ抜かれてぇ~戦ぁって~食べられて~♪ それでも私達アナタのためにぃ~つぅくぅしぃまぁすぅ~♪ 「何よこの歌?」 「小鬼王国国家だぞ!」 「まじで?」 ――100%ネタですよ―― <ルイズ・キングダム!!> 「新王国「古代路地裏連合小鬼同盟」の建国をここに宣言するぞー!」 元気一杯でクロビスがまたも宣言する。 結局レンタル小鬼で儲けたお金を使って、住居施設『貧民街』を建築する事になった。 早い話が、柵で囲って他の使い魔に襲われないようにするという、それだけの事だが。 場所はコルベール先生の研究室の隣。 ちなみに、この研究所は特殊施設『実験室』になっている。 「どうせなら『転職所』にしときなさいよコッパゲ」 ルイズは小声で悪態をついた。 最早『転職所』以外に目が行っていない状態だ。 十数年の間『ゼロ』と馬鹿にされ続けた鬱屈は伊達じゃない。 「いやはや、これで国民が食われる危険も減りますな」 大型バイクに乗って携帯電話を片手に安堵したように言うコルベール先生。 百万迷宮という場所は文化の程度や技術などについて、このハルケギニアと基本的には同程度か、あるいは劣るぐらいが平均である。 なのに、時々ありえないような技術レベルに発展していて、『乗騎』の大型バイクや『携帯電話』は普通に手に入る。 『器官車』とか言うナマモノが線路という鉄のラインの上を走っていたり、『機動戦艦』や人型決戦兵器を造ったり、 あげく『潜水艦』と『オニソプター』とが戦ってるのに巻き込まれたりもするらしい。 と、昨日小鬼達から話を聞き出していたコルベール先生が嬉々として語ってくれた。 嬉々としてというか超ノリノリで、ケータイいじりながら。メール打ちながら。 「ファンタジーなめんな」 メタなセリフで悪態をつくルイズ。 もうかなりヤサグレっぷりが進行している。 よく考えたら朝食もサラダしか食べずに、授業もボイコットしての建国作業だったので空腹なのだった。 ハラペコは人の心をかくも荒ませるのである。 閑話休題。 ついでなので『王宮』もオババの部下の転移魔法で研究室の隣に移転している。 やはり王国の施設は隣接している方が便利そうだし。 そうしてやっと建国がひと段落した頃には、もうお昼になっていた。 いや、もうと言っても、朝滅亡して昼に建国って言うまでもなく圧倒的ハイペースなのだけど。 ともかく、やれやれと肩を揉みながら一人食堂へ行き、遅めの昼食を摂っていると、 王宮で炊き出しをしていたはずのクロビスがルイズの方にやってきた。 「おいルイズ、良い匂いをやるぞ」 そう言ってぴぴっと綺麗な紫色の香水をルイズの手に塗るクロビス。 「ふーん、ホントに良い匂いね」 恐る恐るといった様子で匂いを嗅いで、意外に上品な香気にびっくりしながら言う。 気が付けば、他の小鬼達も片っ端から良い匂いになっていた。 食堂で給仕を手伝いながら、お互いの匂いを嗅いでホワーンと嬉しそうだ。 なんでも親切な人間が残飯をくれると言うので、恩返しに配膳の手伝いをしていたら拾ったと言う。 それをクロビスが皆に分けてまわっているようだった。 「ふーん、アンタけっこう良い王様してるんじゃないの」 「えっへん! もっとホメていいぞ!」 胸をはって言うので、ルイズは真っ白な髪の頭をグリグリと撫でてやる。 気持ち良さそうに目を細めてされるがままのクロビス。 普段は生意気だけど、こーゆー所は子犬みたいだ。 とかホノボノしていたら、突然食堂が騒がしくなった。 「どう言う事か説明してもらえるでしょうね、ギーシュ。 なんで私がプレゼントした香水を、この子達が使っているのかを」 「いいい、いや、おちついてくれたまえモンモランシー。 これはこの小動物が、僕が落としたのを勝手に……」 「おいギーシュ! モンモランシーの香水をプレゼントされたってのは本当なのか?」 「……ってコトは、二人は付き合ってるってコトじゃ?」 「そんな……ギーシュさま……やっぱりミス・モンモランシーと……」 「ご、誤解だよケティ! 僕はだだ、その」 「やっぱり! ギーシュ、あなたその娘と遠乗りに行ったってウワサは本当だったのね!」 「いやその、モンモランシー」 なにやら向こうの方で修羅場になっている様子。 しかし自称「愛でられる薔薇」のクラスメイトが女子と問題を起こすのはめずらしいほどの事でもない。 一年以上も同級生をやっていれば慣れるというもの。 ルイズは無視して食事の続きを……と、思ったのだが。 「…………香水? 小動物?」 会話の中に含まれた単語に気が付いてしまった。 ぎゃっとかぎゅっとか言う物音に慌てて振り向けば、ギーシュがケティとかいう下級生に平手をくらっている場面。 走り去る下級生を追う暇もあればこそ、モンモランシーにワインを頭からブッかけられた。 「あっちゃー……アレはマズいわよね……」 この先の展開を予測してルイズは頭痛を感じた。 落し物を勝手に使ったのだ。どう考えてもその小動物―――つまりクロビスが悪い。 ギーシュ・ド・グラモンはその事で黙っているような性格でも精神状態でもあるまい。 「おい、そこの小動物!」 案の定、茫然自失の呈から抜け出した途端、ルイズの使い魔を見つけて歩いてくる。 「ん? なんださっきの人間か。なんの用だ?」 「キミが勝手に僕の香水を使ったせいで、二人の淑女が恥をかいた。この責任、どうとるつもりかね?」 「落としたぞって教えてやったのに、お前が知らんプリしたんじゃないか。 いらないんなら勿体無いし使ってやったダケなのに、何で怒ってるんだ?」 使い魔の行動は主人の責任でもある。 自分が謝ろうと思ったルイズだったが、どうも何か話が食い違っていた。 「あれはっ! あそこで僕が香水を受け取ったら彼女達に恥をかかせる結果になったろう! だからワザとしらないフリをしたのだ! なのだから後から返しに来るぐらいの知恵を働かせたまえ!」 つまりフタマタがばれるから知らんプリをしたらしい。 これでは純粋にクロビスが悪いとも言い切れない。 だいたい自分で小動物呼ばわりしている相手に、そんな機知を要求するのが間違っている。 「なんだ、やっぱりお前のか。仕方ないヤツだな。のこりちょっとだけどホレ」 「あっ、ちょっ、クロビス!」 止めるヒマも無く机に飛び乗って、残った香水を全部ギーシュにふりかけるクロビス。 バシャリと音がするぐらいの香水がギーシュの頭を濡らす。 さきほどブッかけられたワインの臭いと交じり合って、ものすごい悪臭人間が出来上がってしまった。 「あっちゃあ……」 「けけけけけけけけ決闘だあぁぁぁ!!」 唖然とするルイズの前でギーシュがキレた。 クロビスに悪気はない。ギーシュの気持ちもわかる。 これは異種族間の悲しいディスコミニケーションの現場だと言えよう。 ルイズが頭痛を堪えている間に、クロビスは「なんだか知らんがケンカなら買うぞ」と言ってギーシュに付いて行ってしまう。 いくらギーシュがドットクラスのメイジとは言え、転んだだけで死ぬようなイキモノでは勝ち目など無い。 我に返ったルイズはあわてて二人の後を追ったのだけど、すでに広場では決闘が始まってしまっていた。 「僕はメイジだからこのゴーレムで戦うよ。よもや文句はあるまいね?」 「私は小鬼王だから小鬼を率いて戦うぞ。よもや文句は言うまいな?」 「なんだとぅ!?」 そして7体の青銅ゴーレムにワラワラと数十匹の小鬼集団が群がった。 「突撃ぃー!」 「「「「「「「「「「「「わーっ!」」」」」」」」」」」」 「うわっ、ちょっ、こっち来んな!」 クロビス率いる小鬼王国の精鋭部隊は雄々しく―――刺され踏まれ潰され斬られ跳ね飛ばされ、次々に戦死していた。 青銅の拳が一発軽く叩いただけで絶命する小鬼達。 ちなみにゴーレムが強いのではない。圧倒的なまでに小鬼が弱いだけだ。 「ああ……予想以上に勝負になってないじゃない」 無残に殺された小鬼王国の国民達がヴェストリの広場に転がる 芝生が真っ赤な絨毯のように染まっているのは全て小鬼の血だった。 広場に漂う血臭と小鬼の哀れな姿に、女生徒はギーシュに非難の眼を向け、男子生徒も流石に引いている。 いやもう、この蹂躙っプリ、屍累々っプリは流石にグロいとゆーか。 そして猛烈にある種の予感をルイズは感じ取っていた。 懐からマジックアイテム「王国管理シート」を取り出して覗き込むルイズ。 『「古代路地裏連合小鬼同盟」は魔術師ギーシュとゴーレム軍団との戦闘で人口5人になりました。 人口が宮廷の人数を下回ったため「古代路地裏連合小鬼同盟」は滅亡します』 ホラ、やっぱり。 そりゃあ、指導者より国民が少ない国なんて国とは呼べないに決まってる。 「うわーん、また滅亡したぁー! 生き残りは総員てったーい! 捲土重来を期してこの場は敗北を受け入れるのだー! おまえのカーチャンでーべーそー!!」 5匹だけ残った小鬼を引き連れて滅んだ王国の王宮へとスタコラ逃げてゆくクロビス。 逃げ足の速さだけは一級品だった。 あ、転んでまた一匹死んだ。 (凄いわギーシュ。アンタはたった一人で一つの王国を滅ぼしたのよ! まぁ野犬と同レベルな戦果だけど) 醒めた思考でギーシュに向かって称賛の念を送るルイズ。 お昼ごはんを食べてお腹はいっぱいなのに、なんだか午前中より荒んだ気分だった。 あと血臭でお腹の中の物を吐きそう。 「わは、わははははは! 何匹でもかかって来るがいい、下等生物ども!」 残されたのは勝利に酔うギーシュと血塗れのワルキューレ達。 うららかな春の日差しの下のヴェストリ広場はとってもジェノサイド。 ってゆーか、ギーシュもショックで壊れてないだろうか。 あまりの無益な流血に、食傷ぎみに散ってゆく生徒。 (こうして皆、戦いの虚しさを学んでゆくのね。きっと) とか無理矢理にでも良い方向で解釈するしかないルイズも、とぼとぼと部屋に帰る。 「で、今度は何をやってるの?」 自分の使い魔が見せたあまりの弱さにしょんぼりしながら自室に帰ると、ダッパ君と小鬼達がなぜか縫い物をしていた。 ――いらなくなったテーブルクロスをもらったので、軍旗をつくってます―― 「軍旗なんて作ってどうすんのよ。あんな弱いのに」 ――『小鬼旗手』が軍旗をふると、小鬼のかいひが1アップします―― 攻撃を避けやすくなるらしい。1だけ。スズメの涙程だけ。 あと持ち寄ったガラクタをいじっている小鬼も居る。 ――『小鬼楽団』をけっせいします、HPが1ふえます―― ちなみに小鬼の基本HPは1なので、なんと二倍に増える。 ワルキューレに殴られても6回に1回ぐらいは一撃で死なないかもしれない。 ――『小鬼旗手』と『小鬼楽団』で『小鬼司令部』がこうちくできます―― 正直、無駄な努力だと思う。 小鬼が百匹集まりでもしなければ、ギーシュのゴーレムには勝てそうに無い。 「もう戦うとか考えるの止めなさいよ。クロビスもアンタも弱っちいんだから。 そもそも、小鬼っていう種族そのものが徹底的に弱いんだもの。 クロビスやダッパ君が死ぬ前に無謀な挑戦は止めた方が良いと思うわ。 王国運営とかも含めて」 ――それでも小鬼はすすむのをやめたらしんでるよーなモノですから―― 諦めるように言うルイズに、ダッパ君は迷いの無い瞳でそう答えた。 ぞんざいに二重丸を書いて中を黒く塗りつぶしたような目だけど、それだけにまっすぐでブレの無い瞳。 小鬼はすぐに死ぬ種族で、戦っても死ぬけど戦わなくても死ぬ。 でも生きる事が戦いの世界で、けれどこの弱過ぎる生き物は確かに生き抜いてきたのだ。 だから、そう。彼等は決してあきらめない。 自分がダメでも、次の小鬼が、いつかきっと目標を達成すると信じている。 自国がダメでも、次の王国が、いつかきっと、目指す何処かにたどり着くんだと。 だから小鬼という種族は百万迷宮最弱で―――実はとっても、とっても、強いのだ。 「新王国「古代路地裏連合マジカル小鬼同盟」を建国するぞー!」 例によってクロビスの気勢を上げる元気な声が窓の外から聞こえてきた。 マジカルってなんなのだろうとか、そんなどうでも良い疑問が過ぎる。 まぁどうせサイコロ振って決めたのだから意味など無いのだろうけど。 意味が無くてもかまわない。勝てない事になど慣れっこだ。 それでも立ち止まらず、進化と変化を繰り返し、したたかに、たくましく、ちゃっかりと。 「明日はリベンジだー!」「「「「「おー」」」」」 学院の隅、掘っ立て小屋の王宮で『小鬼小王』が気勢を上げる。 頑張ろうとルイズは思った。 頑張って諦めず、魔法を使えるようになるのだと。 これまで以上に真面目に授業も受けて、あとお金も貯めて、転職所を建てるのだと。 そして必ず魔導師になるのだと、二つの月に誓うのだった。 おまけの用語説明コーナー『百万迷宮の歩き方』 【施設】 王国内に建造できる様々な効果をもった建物。 過半数が固有のレベルを持ち、隣接させて同じ施設を建てる事でレベルアップする。 『貧民街』は過剰な国民を詰め込む事が出来る施設。 『実験室』はそのシナリオ限りのアイテム一個を手に入れる事が出来る。 ルイズ垂涎の『転職所』は、キャラクターの職業を変更する施設。 宦官から貴族になったり、魔導師から怠け者になったりも出来る。 性別が女なのに宦官とか、宦官から転職すると「生える」とか、 職業が二つ持てる従者が働き者/怠け者になるとか、百万迷宮の職業事情は謎で一杯。 【ファンタジーなめんな】 携帯電話だけでなく、住民台帳やクレジットカード、保険に時計に徹甲弾なんてアイテムもある。普通に。 レアアイテムになるとチェーンソウにカメラ、果ては蒸気甲冑に機械の身体なんて物まで。 上級職業にアイドルとプロデューサーとか、極道とか委員長が居たり、 暴走列車にハネられる、大名に無礼打ちされる、47人の侍に夜襲を受ける、 マヨネーズに襲われる、ワー妹に食われる等、素敵な体験が出来る世界・百万迷宮! つくづくファンタジーなめんな。 前ページ次ページルイズ・キングダム!!
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前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝 第一章~旅立ち~ その6 ギーシュやぶれたり! 「ワルキューレぇっ!!!」 「遅ぇ!!」 雷光のような一文字斬り、そして続けざまに縦。 二つの斬撃が、ここハルケギニアには無い漢数字『十』の形を象る。 騎士ラードから伝授された必殺技だ。 曰く、十文字斬り。 鋭く研ぎ澄まされた技は、襲いかかる銅像を4つに分断した。 「てンで歯ごたえがねえぜッ!?」 「くそ……こんな……こんな馬鹿な!!」 ギーシュの奥歯が、火花を散らすのではないかというほどに擦られる。 ここで自分は負けるのか。 年端も行かない子供が振るう剣の前に屈するのか。 武人の一家としての誇りは、すでにズタズタになっていた。 「こんな……こんな所で……グラモンの、戦でも誉れ高き一族の名を……汚すことに……!!」 焦燥に駆られ整ったヘアスタイルをかきむしるギーシュの目に、『ゼロ』のルイズの姿が留まる。 あいつが剣を渡さなければ。 いや、もともと彼女の躾が悪かったのが原因だ。 いやむしろ、あんな小僧を召喚したルイズが全面的に悪い!! 焦りに焦ったギーシュの苛立ちの矛先がルイズへ向くのには、そう時間はかからなかった。 ギーシュの薔薇が、理不尽な方角へと振るわれる。 「『ゼロ』、め……!よくも決闘に水を差してくれたなッ!」 「え!?」 最後のワルキューレを向かわせたのは、決闘相手の主の元だった。 ギーシュのプライドを守るための、苦肉の策。 「!?ルイズッ!」 「きゃあっ!!」 銅の巨像が少女に迫る。 握られているのは剣、切れ味は鈍そうだが当たればきっと痛かろう。 ルイズはぎゅっと目を閉じた。 恐怖で身がすくむも、いくら待てども痛みが訪れることが無い。 目を開けると、そこには動きを止める騎士像の姿があった。 「……ルイズにまで、手を出しやがったな」 ムサシの投げた黄金の刀が、ワルキューレに刺さっている。 不思議なことに像から光が湧いて、それが刀身へと吸い込まれているように見えた。 わずかに間を置いて、力を失ったワルキューレは崩れ消滅していった。 刀はまるで魔法のように宙を舞い、持ち主である少年の手元へ戻って行く。 その顔は、静かな怒りを秘めているようにも見える。 ギーシュも生徒たちも皆言葉を失い、見ていることしかできなかった。 「女を泣かせてあげくに手を上げるなんて、色男が聞いてあきれるぜッ!!」 「ぐ、ううッ!!」 今の不思議な出来事を問いただす気にもなれない。 終わった、とギーシュはそう思った。 初めは単なる八つ当たり、あんなチビならば赤子の手をひねるよりも容易い。 そう思ったのが、愚かな選択の始まりだったのかもしれない。 その結果がこの醜態だ、明日からは男子連中から後ろ指を刺され、麗しい女子には背を向けられるに違いない。 ルイズを笑える立場では無くなるだろう、ギーシュは絶望し、がくりと膝を折ってしまった。 予想外の展開に辺りがざわつく中、少年はツカツカと歩み寄りギーシュの手から薔薇の造花を奪い取った。 「……僕の、負けだ……さあ、どうとでもするが……」 「おし、じゃあ決闘だ!!」 「……は?」 ムサシはギーシュの杖である薔薇をぽいっと投げ捨てながら、そう言った。 手に持っていたワルキューレの剣が、差し出される。 「け、決闘ならたった今……」 「何言ってやがる!!」 ギーシュの背筋を悪寒が駆け抜ける、まさかこの少年はまだ自分を許す気は無いのだろうか。 まいったと言っても、こてんぱんに叩きのめす気なのでは無いかと想像して身震いした。 だが、その考えが杞憂であるとすぐに理解した。 「花うらないや人形遊びはここまでだ!!男の決闘ってのは……」 そう、コジローの持ちかけた花うらないでの決闘なんかでは無い。 自分が望むのはこういうものだ。 そう思ったムサシはギーシュの手にむりやり剣を握らせ、距離を取る。 振り返り切っ先を向け、白い歯を見せて笑った。 「剣でするもんだろ?お武家様なら、なおさらな」 ギーシュは剣を手にしたまましばし呆然としていた。 しかし、やがて悟って薄く微笑む。 ムサシに悪意は感じない、そしてどこまでも真っ直ぐな眼差し。 彼はただ、どこまでも決闘を欲しているのだ。 痛めつけたい、屈服させたいという自分の下卑た欲求とはまた違う、ただ、剣を振るう兵法者としての、純粋な思い。 強くありたい。 この身に流れる血故か、ギーシュにもそれが今なら理解できた。 「……我が名はギーシュ、ギーシュ・ド・グラモン。一対一、剣と剣での穢れない純然たる決闘を……受けて立とう」 ギーシュの顔つきが変わった。 周囲を囲んだ女子生徒や、恋いて止まないモンモランシー、そして立ち向かうムサシにもそれが解った。 決闘を望んでいなかったルイズですら、今や言葉を挟む気にはならない。 場が、戦場のそれと同じく張り詰める。 ムサシが剣を両手で正眼に構える、ギーシュもまた、不恰好ながらその腰は引けていなかった。 「……」 「……勝負ーーーッ!!!」 動いたのは、ギーシュが先だった。 いつもの格好つけた立ち振る舞いではない、細身には似合わぬ剣を腰だめに構えて、ただ愚直に突っ込む。 二人の剣士は、交錯した。 「……」 「……ぐッ」 ギーシュが倒れた。 観衆に驚きが伝染する。 「おい、ギーシュがやられた!!」 「マジかよ!」 「ムサシ!」 「ギーシュ!ギーシュ!!」 ルイズと、金髪を巻き毛にした女子生徒が人ごみから飛び出る。 ムサシはああ、ギーシュをひっぱたいたあの子か、と思い出した。 「ムサシ、あんた……」 ルイズは迷った。 決闘に勝つだなんて思わなかった。 『勝って』と望んでしまったのは自分、しかしギーシュは犠牲となったのだ。 叱咤も激励も、喉に詰まる。 「よくも、よくもギーシュを!!」 「そ、そうだわ……はやく医務室へ」 「おいおい、落ち着けって」 モンモランシーは横たわるギーシュの頭を抱きすくめ、涙まで零して怒る。 ルイズは焦った、その叫びにようやく級友の命の危機を感じたのだった。 虐めを受けたとは言えど、ルイズはそこまで冷酷にはなれない。 と、ギーシュがかすかに身じろいだ。 「……う、う~ん……す、すまないモンモランシー君には寂しい思いをさせてしまった…… 僕という輝ける存在を失っても君はきっと輝ける最高の女性になるだろう……なぜなら 君は光を失っても輝ける、僕にとっての太陽のような女性だったから……ああ……せめて 最後は君の胸の中で……」 「ムダに長くしゃべる元気はあるじゃないのよぉーーーッ!!」 「安心しな、『みねうち』だゼ!」 「それならそうと言いなさいこのバカチビーーーーーッ!!!」 ギーシュとムサシ、二人の頭がスパーーーンと気持よく音を立てる。 ムサシはケラケラ笑い、ルイズも気づいたときには笑っていた。 ギャラリーも大いに沸き、気がつけば決闘の刺々しい空気はどこかへ立ち消えていた。 『ゲット・イン』みねうち。 雷光丸に秘められた神秘の能力、敵の力を奪いとり己がものとする魔法。 先ほどのワルキューレから奪い取った能力で、ギーシュを傷つけることなく無力化したのだった。 「あいたたた、慣れないことはするものじゃないね……ああモンモランシー、自分で立てるよ」 「いい戦いだったゼ!」 「はは、完敗だったよ……だが、不思議と悪くない気分だ」 よろよろと立ち上がったギーシュ、どうやら傷は浅いらしい。 その表情は晴れやかだった。 「おいらはいつでも相手になるからさ、またやろうぜ!!」 ムサシもまた晴れやかな表情で、手を差し出した。 この少年は今の今まで剣を交えた自分と、今度は手を取り合うと言う。 今までの自分がずいぶんと小さい存在に思えて、ギーシュは苦笑した。 すべてを反省し、少年のあたたかな手に手を重ねる。 「君には敵いそうもないが……よろしくたのむ。そしてすまなかった、ムサシくん」 「ムサシでいいぜ!それよか、謝る相手を間違っちゃいねえか?」 自分よりはるかに小さな少年に頭を下げるギーシュ。 あっぱれだという声が、周囲から乱れ飛ぶ。 今ここにルイズを、ギーシュを笑う者は、いなくなっていた。 そのギーシュはというと、ムサシの声に顔を上げる。 ルイズとモンモランシー、謝罪すべき双方がそこにいた。 「あらら、あのギーシュがルイズに謝るなんて。こりゃ明日は雨かしら、ね?」 ギーシュの謝罪は、すぐにとは言わないがきっとルイズと皆の関係を変える切っ掛けとなるだろう。 視線を落とすと、親友は少年の方をじっと見つめていて反応が帰ってこない。 春が来たのかしらとからかい半分に微笑んだ。 しかし、タバサが見つめているのは彼の武器の方だったと、誰が気づいただろうか。 向き直ってルイズを見ると、使い魔をぽかぽかとぶっている。 しかしその顔は本当に心配していたようだ、ムサシも解っているらしい。 ギーシュがモンモランシーに謝罪している、その饒舌さが災いして平手を食らっていた。 また観客がどっと沸く。 その声に紛れてキュルケは隣の友人にすら聞こえないほど小さく、つぶやいた。 ケンカ友達の、照れ混じりの祝福だった。 「ルイズ、けっこうイケてる使い魔じゃないの。……おめでと」 オスマンとコルベールは『遠見の鏡』から目を外した。 年端もいかぬ少年が、メイジに勝った。 『ガンダールヴ』の力はやはり本当、というのが二人の結論であった。 「左手に剣を持った時、輝いておりましたね」 「うむ、ルーンの効力もあるじゃろうがあの少年、かなりのもんじゃぞ」 オスマンはほっほっほと笑っている。 コルベールが笑い事ではありません、とたしなめた。 「始祖ブリミルの使い魔であるガンダールヴと同じルーンを持つ使い魔……王室に報告すべきではないかと思うのです」 「何を言うとる」 今度はオスマンがたしなめる番だった。 仮に本物の『ガンダールヴ』であればその力を利用、ないしは悪用する連中が湧いてでるに違いない。 今は他言無用、とオスマンは威厳たっぷりに言った。 「はっ、いささか浅慮でありました。オールド・オスマン」 「よいよい」 「では、私はもう少し独自に調べてまいりましょう。失礼致します」 コルベールが退室し、静まり返る学長室。 使い魔のねずみを指先であやしながら、独りごちた。 「……名前まで同じとは、偶然かのう」 前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝
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前ページ次ページルイズ・キングダム!! その日その時、彼女は初めて魔法を成功させた。 「ゼロのルイズが召喚を成功させたぞ!」 「こりゃあ、明日は嵐かもな」 まわりのクラスメイトからの野次も今は気にならない。気にする余裕も無かった。 「えっと……なにコレ? 亜人?」 今日はトリステイン魔法学院、春の使い魔召喚儀式。 ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールは自分が召喚した相手を前に呆然としていた。 彼女が召喚し、目をグルグルさせて倒れているのは、女の子のような生き物。 女の子、と断言しないのは、その子の肌が子犬のような茶色い短毛で覆われているからだ。 耳も垂れた感じのイヌミミ。少しだけ覗いた口にも、犬のような鋭い牙が生えている。 じゃあどの辺りが女の子っぽいかと言うと、それ以外の全部。 小柄な身体は人間と同じような四肢が揃っているし、きちんと衣服を纏っている。 粗末な厚手の布のワンピース。丈夫そうな革のブーツと手袋。 身体に合わない大きなベルトに、こちらは身体に合わせたような小さな剣。 くすんだ赤のマントは口元を隠す襟巻きのように覆い、体毛とは色の違う真っ白な髪の毛が背中程に伸ばされている。 そして、トサカのような逆立った前髪の後ろに隠されるように、小さな王冠を被っていた。 可愛らしいと言っても良い顔立ちはトロール鬼やオーク鬼とはまるで違うけれど、全体的な雰囲気は亜人のそれに近い。 その上王冠とくれば、未知の亜人の王族でも召喚してしまったんだろうかと不安にもなる。 「なぁ、アレってまさかエルフなんじゃあ……」 「まさかぁ。ゼロのルイズがエルフなんて凄い使い魔を呼び出すはず無いって」 ヒソヒソと話し合うクラスメイト達。 タレミミが長いと言えば長い耳だから、確かにウワサに聞くエルフかもしれない。 でもエルフがこんな毛皮に覆われた生き物だなんてハナシは聞かないし…… でもまぁ、召喚成功は成功という事で、ルイズはあまり深く考えず契約の呪文を唱えてその子とキスをした。 豚のような顔のオーク鬼とかじゃなくて本当に良かったと思いながら。 <ルイズ・キングダム!!> キスをした途端、私の使い魔になったばかりの亜人っぽい女の子が跳ね起きる。 パッチリと開いた瞳はルビーのように綺麗な真紅。 おそらく普段なら凛々しいであろう太めの白い眉が、呆然と見開かれた目を縁取っている。 「な、なんだここは!? 天井が青いぞ! 壁が見えないぞ!」 「ちょ、ちょっとアンタ落ち着きなさいよ!」 「星も無いのに明るいのはなんでだ!? ってゆーかここはドコだ!?」 周囲を見回して、突然騒ぎ出す女の子。 コンストラクト・サーヴァントの効果か言葉はルイズ達と同じ言語だが、 周囲の人間の姿なんか目に入ってないようで、ルイズの言葉なんかまるで聞いていない。 「ダッパー! ダッパは居ないのー!?」 心細そうな、切ない声で誰かを呼ぶのを聞いて、ふと罪悪感がこみ上げてきた。 柔らかそうなニコ毛を生やした見た感じはまだ子供っぽいし、自分にとってサモン・サーヴァントを行うのが必要だったとは言え、 亜人少女の家族や友達から引き離してしまったと思うと、ルイズもなんだか可哀そうな気がしたのだ。 「あの、ゴメンね……貴女のダッパって人は、ここには……」 ――よびました?―― 驚きで一瞬ビクッと硬直してしまうルイズ。 いつの間にそこに居たのか、彼女の背後から変な生き物が声をかけてきたからだ。 小柄なルイズの腰ほどの身長しかない、茶色の動物。 生意気にも二足歩行をしていて、服は着ていないのにベルトと口元を隠す赤い襟巻きだけを身につけている。 その手にはけっこう立派な槍をぶら下げ、アタマにはバッテン印の巨大バンソーコー。 「なななな、なによアンタ」 ――あ、はじめまして。『忠実な僕』ダッパといいます―― 「ちちち忠実な僕?」 ――はい。『小鬼小王』クロビスさまの従者です―― 「クロビス様って誰よ……って、あの子の事ね?」 ――そですね―― 「ダッパぁ! 居たんだダッパー! よかったよー」 ガシッと変な生き物ことダッパに抱きつく亜人の子・クロビス。 良く見ると二匹は似ていない事も無いと思える外見だ。 犬っぽいタレミミとか茶色い短毛とか赤い襟巻きとか。 大きさは倍半ぐらい違ってて、クロビスが上級機でダッパが量産型って感じだけど。 まぁ、なんだか判らないけど大事な人と離れ離れにならなくて良かった、とかルイズが思っていると。 「馴れ馴れしいー!!」 ――むぎゅ―― 自分から抱きついたはずのクロビスが、いきなり怒鳴ってズビシとダッパを突き飛ばしていた。 コロリンと転がりながら受身を取るダッパ君。妙に慣れた様子だった。 「ミス・ヴァリエール? これはいったい何の騒ぎなのかね?」 「私の方が聞きたいです、ミスタ・コルベール。 だいたい一体の動物しか召喚されないはずのサモン・サーヴァントを唱えて、 なんで亜人が二匹も現われるんでしょうか?」 ――まぁ、なんとなくそこにいるのが小鬼なんで―― 「小鬼?」 ――くわしくはこちらのヒトにきいてください―― 「こちらって……うわっ!?」 これまたいつの間にか居たのはえっと、小鬼のお婆さん? やけにヨボヨボしてて背中の曲ったローブ姿の小鬼が、4匹の小鬼が支える輿ってゆーか板にゴザをひいたようなモノに乗っていた。 「いや、だからアンタ達ホント何処から現れてるのよ」 「ワシは『話の長い』バゼバゼじゃ。おじょうちゃんに、ちぃ~と小鬼に関して解説してやろうかのぉ」 「なんだか不吉な予感がする二つ名なんだけど……」 ルイズの予感は当たりだった。本当にトコトン話が長い。 そりゃもう、コルベール先生を残してクラスメイトは学院に帰ってしまうし、終わる頃にはとっぷり日も暮れるぐらいに。 その世界は住人達からは百万迷宮と呼ばれている。 空も大地もなく、あるのは床と壁と天井のみという迷宮世界。 上に登れば「天使」という超越種族が住む「天階」に、 下に降れば「深人」という超越種族が住む「深階」にたどり着くと言うが、 そこに行って戻ってきた者などお伽噺でしか知られない、 東西南北上下のどちらに行ってもひたすら迷宮が広がっているヘンテコな世界なのだと言う。 小鬼達は迷宮の中では最もありふれた種なのだという。 それこそ人間とタメを張るぐらいに何処にでも住んでいる。 迷宮世界での食物連鎖ヒエラルキーで最下位を競う両種族はしかし、高い繁殖力と適応性でもって生き延びる事を選んだ。 特に小鬼は、普通に子供をつくるだけでなく、なんとなく生えてきたり、なんとなく増えたりすると言うのだ。 かなりムチャクチャな種族と言えるだろう。 ともかく、そんな小鬼や人間は、弱いからこそ徒党を組む。 徒党を組めば中から少し力の強かったり頭が良かったりする者が現れるのは必然と言えよう。 そう言った者達は国土開拓者「ランドメーカー」と呼ばれて「国王」や「大臣」を名乗り、「宮廷」を形成。 「宮廷」に率いられた人々が小は数十人から大は数万人の「王国」がひしめいて群雄割拠の様相を呈する。 それが百万迷宮という世界なのだと言う。 そしてルイズが召喚した「小鬼小王」クロビスこそ、「神官」のバゼバゼや「従者」のダッパを率いる「小鬼王国」に君臨する国王なのである。 ちなみに国民は小鬼46匹 「いやまぁ良いけど。ウチの学校の学年一つ分より少ない国民で国家を名乗るってどうなのよ?」 「国民100人以下の小国は、卓上に納まるような王国、テーブルランドなどと呼ばれるのじゃ。 そして迷宮国家全体の約八割はテーブルランドであるとも言われておるじゃ」 「ショボっ」 ――あと「学園」をなのるこっかもあるそうですよ、いくつも―― 規模としてはそっちが正しそうな気がするルイズだったが、迷宮の中の学校と言うのも想像し難かった。 正直異世界とか迷宮だらけの世界など荒唐無稽で信じ難いけれど、話のディテールがしっかりとし過ぎているし、 こんな生き物についての知識はルイズやコルベールにも無い。 ハルケギニアの既知生物では無い事は確かだろう。 クロビス達が月を見上げて「なんか丸いのが二つ浮いてるぞー」とか言ってガビーンとなってるのも演技には見えなかったし。 ――きいたことありますよ。よるにひかるまるい星は『月』っていうんです―― 「ああ、その伝説なら知ってるぞ。アレってチーズで出来てるんだよな?」 ――おなかいっぱいたべられますね―― 「なんでチーズなのよ。 まぁ百歩譲って彼等がその百万迷宮から来た異世界の亜人だとしても良いわ。 私の呪文が妙な世界とこの世界を繋いでしまったとしても、特別に許すわよ。 で、何でサモン・サーヴァントでその小鬼が三匹も呼び寄せられてるのよ?」 ――たぶん迷宮嵐のせいですね―― 「迷宮嵐?」 迷宮嵐と言うのは、空間構造の不安定な百万迷宮では時折起こる自然現象だ。 部屋の配置やその中身の位置、果ては住人までもをランダムに飛ばしてしまう迷惑な迷宮災害。 たまに異世界からの稀人が現われたり、その逆に他所の世界に飛ばされる者も居る。 近年では大規模な迷宮嵐で異世界との大きな通路が繋がったようで「チキュウ」とかいう世界と頻繁に行き来している小鬼も多いという。 ――ちょうどソレに遭ってたトコロだったんです―― 「大変だったんだぞー」 「いやまぁ、トンデモない世界だって事だけはよーっく判ったわ……」 「大変過ぎて王国が滅んだぐらいだからな」 「はい?」 ――あ、ほろんじゃいましたか―― 「え? 良いのアンタ達、そんな軽く言ってて?」 ――毎度のことですから―― 「うん。クヨクヨしてても始まらない。ほろんでも再建すればいいんだからな!」 まるでメゲたところも見せず、クロビスが元気一杯でそう言った。 「いや、再建とかじゃなくて、アンタは私の使い魔なんだけど……」 「オババ、ここに宮廷を呼んでちょうだい!」 「やれやれ、めんどうだねぇ。アンタ替わりに頼むよ」 口を挟む間もなく、勝手に話を進めるクロビスとバゼバゼ。 「ねえ……ひょっとして、ダッパ君が一番人の話聞いてくれる人なのかしら?」 ――まわりをみないタイプのヒトがおおいですからねぇ―― 「人じゃなくて小鬼でしょうアンタ達……なんか早くもメゲそうよ私」 言ってる間にもオババことバゼバゼに命令されて、小さな鍵のような杖を持った小鬼が、なにか呪文を唱え出した。 まさかメイジでも無いのに魔法が使えるんだろうか? いやでもオババは神官とか言ってたし。でも亜人なのに先住魔法じゃ無くて呪文を唱えて? ルイズがそう思って見ていると、小鬼は何も無い空間にその鍵を突き刺し、思いっきり捻った。 空間が開く。 そうとしか表現のしようが無い現象がおこって、次の瞬間原っぱに粗末な小屋が現われていた。 「ショボっ! 魔法自体は凄いけど『宮廷』ショボいわよ!」 どれぐらいショボいかと言うと、学院の馬小屋の方がまだマシじゃないかというぐらい。 テキトーに石材とゆーか石ころを積んで、テキトーに動物の骨や牙で骨組みを作って、 テキトーに布で囲った大き目の簡易テントのような「宮廷」である。 なんだかゲンナリするルイズ。 「おおっ、コレは凄い。こんな骨は見たことがありませんぞ!」 対照的にコルベール先生は凄く嬉しそうだった。 どうやら学術的好奇心が刺激されたらしい。 「おお、これは何かの道具ですかな? むむむ、こっちもなにやら不思議な物が……」 「それより今の魔法ってなんなのよ? アンタ達メイジなの?」 ――それはまた、ふるくさいよびなですね―― 「ずーっとずーっと昔には、魔法を使うのはみんなメイジって呼んでた時代もあったものさ。 今は三大魔道って言われる主要な三つに分けられててねぇ。 つまり星術、召喚術、科学の三部門があって、その全部を操るのが魔導師ウォーロック、 星術を扱うのは星術師、召喚術は召喚師、科学を使うのは博士って呼ばれるのさ。 いましがた使って見せたのは召喚術の一種じゃね。 国の施設を一個移動させられる『お引越し』って術なんじゃよ、お嬢ちゃん」 「国に温泉があれば迷宮探索の途中でも温泉に入れるし、 国に転職所があれば探索中でも転職できるんだぞ! って言っても、まぁウチの国にそんな『施設』は無いけどな」 「魔法が使える使い魔……って、ワタシの使い魔はクロビスだけど、 国王の部下の部下なら私の使い魔も同然よね?」 これはダンゼン当たりを引いたかと喜ぶルイズ。 そんなルイズをまるっきり無視した様子でクロビスは元気一杯に気勢を上げる。 「よーし、ここに新小鬼王国の建国を宣言するぞ! 景気付けに王国の名前を一新するので、宮廷は各自ダイスを持て!」 「え、私も?」 なにがなんだか分からない内にサイコロを持たされて振る事になるルイズ。 「ええっと、出目は3と4ね」 クロビスとダッパもサイコロを振っている。 これで何が決まるのかとルイズとコルベール先生が思っていたら…… 「新王国の国名は「帝政連合帝国」に決定だぞ!」 「いやいやいやいやいやいや、待ちなさいよ! 帝政と帝国が被ってるって言うか、連合で帝国ってどうなのよって言うか、サイコロ振って決めるのかよとか、ツッコミ所が多すぎ! むしろツッコミ所しか無いじゃないのこの国名!」 「気に入らないのか? じゃあオババとモークで振りなおして」 「うわっ!? いつのまにかもう一匹小鬼が増えてる!?」 そこにはいつの間にか黒装束に身を包んで生気の無い目をした、なんだか存在感が薄い小鬼が座ってた。 どうやらモークと言うらしい小鬼とオババが、先程のルイズと同じようにサイコロを振る。 「新王国の国名は「古代連合同盟」に決定したぞー!!」 「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや! 連合で同盟ってまた被ってるわよって言うか、今出来たばっかりなのに古代ってナニよって言うか、 そもそもサイコロ振って決めんなとか、ツッコミ所が全然減ってないってば!」 「しかしこの国名決定は『世界の法(ルールブック)』に則ったもの。 これ以上の変更は出来んのだ。あきらめろ神官」 「そんな、あきらめろって言われても。 そもそもルールブックって何よ、そんなワケ判らない物なんかに……って、神官?」 「そなたの事だぞ『ゼロの』ルイズ。 これより我々の宮廷(コート)は一心同体の運命共同体となった! 『古代連合同盟』をいずれこの『外』世界に覇を唱える大国にするため、 国民共々精進努力を重ねてゆくのだ!」 「「「「「「「「「「「「「「「「おーっ!」」」」」」」」」」」」」」」」 「え? 私いつの間に運命共同体? いや、確かに使い魔とメイジは一心同体の運命共同体なんだけど。 っていうか、またいつの間にか小鬼が増えてるうぅぅぅぅ!?」 その数およそ50匹。 小鬼。 百万迷宮で最も数が多く種類も豊富ながら、その生態は詳細不明。 繁殖方法などにも謎が多く、たまに土の中から生まれてきたり、 モンスターの死体やキノコ畑などから生えてきたりもする。 普通に子作りや子育てをしている場合もあるらしいが、 百万迷宮に住む多くの住民にとっての認識は「気が付いたら増えている」である。 百万迷宮のコトワザにいわく「小鬼は一匹見かけたら三十匹は居ると思え」 階段で転んだだけで死ぬかわりに、どんなに食べられても殺されても絶滅しない種族なのだ。 「……うん、もういい。もう考えるのめんどい」 大喜びで小鬼から話を聞いているコルベール先生は放置して、ルイズは歩いて自室に帰る事にした。 ねがわくば、コレが夢でありますように。 そして目が覚めたら異世界の男の子とか召喚してて、1St Kissから始まる二人のヒストリーとかが開始していますように…… と、願って眠りについた翌朝。 「うわーん!「古代連合同盟」が野犬の群れに襲われて滅亡したーっ!」 「……夢じゃなかった」 しかも小鬼国家は野犬より弱いらしかった。50匹も揃ってて。 おまけの用語説明コーナー『百万迷宮の歩き方』 【迷宮キングダム(MakeYouKingdom!!)】 発売元・ホビーベースのシニカルポップダンジョンシアターRPG。 いわゆる卓ゲ。テーブルトークロールプレイングゲーム。無電源系。 「迷宮災厄」によって世界の全てが迷宮となった「百万世界」を舞台に、 プレイヤーは王国を運営する宮廷の一員となって、ワリと貧乏臭く冒険する。 最近のTRPGとしては珍しく、自キャラが死にやすいあたりがシニカルかつ命の重さが超ポップ。 富士見ドラゴンブックからリプレイも発売されている。 【小鬼(Ogrekin)】 迷宮キングダム最弱モンスターにしてマスコットモンスター。 敵がファンブル(絶対失敗。1のゾロ目)すると1匹増える。 特殊ルールを使用していると、自分がファンブルしても2匹増える。 【『小鬼小王』クロビスと従者のダッパ】 サプリメント掲載の四コマ「小鬼キングダム」シリーズの主役主従。 クロビス様はツンデレで強気ヘタレ。ダッパ君は素直クール。双方萌えキャラ。 【国名】 ホントにサイコロ振って決定。 【野犬の群れに襲われて全滅】 『群狼』相当のモンスター。 群狼のレベルは5なので、そりゃー1レベルの小鬼じゃ勝てっこ無い。 なお、このモンスターは絶対成功すると相手のHPを1D6にしてしまうと言うスキルを持っている。 たとえHPが300あっても、発動すれば一撃で一桁にされるという恐るべき能力だが、 小鬼がこれを食らうと逆にHPが増えたりする。元が1だけに。 前ページ次ページルイズ・キングダム!!